Interview
2020.05.08

今日はちょっと贅沢に。栄養満点・鰻を自宅で楽しもう。
―特集:おうちで日本橋ごはん#1

今日はちょっと贅沢に。栄養満点・鰻を自宅で楽しもう。
―特集:おうちで日本橋ごはん#1

自宅で過ごす時間が増えている今。食の街・日本橋では、各ジャンルの名店が“こんな時こそ食で元気を届けたい”という思いのもと、新たなテイクアウトメニューやデリバリー、通販等の展開を開始。note内の「おうちで日本橋ごはん」サイトに各種情報が掲載されています。Bridgineではこれと連携し、店主の皆さまに、今だからこその日本橋の食の楽しみ方を語っていただく特別企画をスタートします。第一回のテーマは「鰻」。日本橋の老舗鰻店3店舗に、各店のお料理の魅力や自宅での“美味しい食べ方”などをお伺いしました。中央FMのラジオパーソナリティも務め、日本橋の老舗店舗の皆様とも交流のある新宮志歩さんをファシリテーターに迎えた、お腹が空くこと間違いなしのクロストークをお楽しみ下さい。

【ご取材先】
うなぎ割烹大江戸:十代目 湧井浩之さん
日本橋いづもや :三代目 岩本公宏さん
髙嶋家     :五代目 鴛尾明さん
【ファシリテーター】
フリーアナウンサー:新宮志歩さん

Q.お店のご紹介をお願いします。

湧井浩之さん(以下、湧井):「大江戸」は創業して約220年になります。ここ日本橋に店を構えたのは戦後になってからで、私で十代目になります。1階がテーブル席、2階がお座敷になっており、気軽なランチから宴会まで幅広くご利用頂けます。

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大江戸の外観(画像提供:大江戸)

岩本公宏さん(以下、岩本):「いづもや」の三代目岩本と申します、よろしくお願いします。1946年に日本橋本石町にて創業し、本館と別館、そして日本橋三越店にもお店があります。会食利用はもちろん、周辺の就業者の方々や、長年御贔屓いただいているお客様…、幅広くご来店いただいています。

鴛尾明さん(以下、鴛尾):「髙嶋家」の鴛尾です。明治8年創業、今年で145年になりまして、私で五代目になります。みなさん同様、様々なお客様にご利用いただいており、出前やテイクアウトなども承っています。日本橋の地元で長らくご愛顧頂いております。

Q. 他己紹介:「あの店のあのメニューが好き!」を教えてください。

新宮志歩さん(以下、新宮):お三方は普段から交流が深くていらっしゃいますよね。お互いをよく知る皆さんそれぞれのおすすめメニューが知りたいです。

<大江戸のこれが美味しい>

鴛尾:大江戸さんでオススメしたいのは「白焼き」ですね。江戸前鰻は半分に切って出すのが主流なのですが、大江戸さんは味の詰まった小ぶりな鰻を一匹そのまま出されていて、そこが大きな特徴です。器も素晴らしくて、銅壺(どうこ)と呼ばれる下に湯を張った二重構造の器を使っているため、温かいまま食べることができます。付け合わせのすだちや山葵を付けて、日本酒といただくのが最高です。

白焼き

大江戸の白焼き。こだわりの器でアツアツの状態が保たれる。(画像提供:大江戸)

岩本:僕も白焼きを推したいと思ってました。上質な鰻をあの器でまるごといただくのは贅沢なひとときですよ。あの銅鼓はうちも欲しいくらいです…。

湧井:ありがとうございます。白焼きになぜ小ぶりの鰻を使うのかと言うと、脂の乗りが程良いので鰻自体の旨味が引き立つからです。白焼きは素材の持ち味がよくわかる料理ですから、そこを大切にしています。器は輪島で作った特注品。岩ちゃん(いづもや岩本さんの愛称)、これちょっと高いよ(笑)

岩本:やっぱり…怖くて値段聞けないです。(笑)

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気さくな店主の皆さん。笑いの絶えないオンライン対談になりました。(画像:Bridgine編集部)

<いづもやのこれが美味しい>

鴛尾:いづもやさんの一推しは「鰻の魚醤」ですね。これは鰻の旨味が凝縮された絶品。以前特別に出して頂いた、この魚醤を使ったお椀が本当に美味しかったんだよなぁ。

いづもや外観

いづもやの外観(画像提供:いづもや)

岩本:明(髙嶋家鴛尾さんの愛称)、魚醤のお椀、いつも出しているわけじゃないからあんまり言わないでね(笑)。あ、けど話にでたのでご説明しますね。魚醤とは魚と塩だけを使った調味料で、世界各地で作られています。有名なのはカタクチイワシの魚醤、つまりナンプラーですね。これをうちでは鰻で作っていて、蒸した鰻に塗って焼いたものを「いづも焼き」というオリジナルメニューとして提供しています。魚醤は旨味が強いので一般的にはよく鍋料理に使われたりしますが、料理の味にぐっと深みが出る優秀な調味料ですよ。

いづも焼き

いづもやの「いづも焼き」。他では食べられない、お店の屋号が入ったメニュー(画像提供:いづもや)

湧井:いづもやさんは鰻料理の王道ももちろん、蒲焼の元になった「がまの穂焼き」、「生醤油焼き」などさまざまな形で鰻を味わえるのが素晴らしいですよね。それと僕が好きなのは焼き鳥。サイドメニューにもこだわりが感じられます。鰻の皮をポン酢に和えた一品なども美味しいですよ。

岩本:湧井さん、皮ポン酢も普段出していないんですよ…(笑)。ふぐの皮を湯引きしてポン酢・ネギともみじおろしで食べるお料理がありますよね?あれ、鰻の皮でやっても美味しいんですよ。皮を削いで残った身はそぎ切りして、粉を付けて多めの油で揚げ焼きにするのも良いです。

新宮:ここまで聞いてしまうと、いづもやさんに行ったらメニューにないもの頼みたくなりますね(笑)

岩本:ついつい新しい食べ方を研究したくなってしまうので、仲間内に特別に提供しているんですが…いつもできるわけではないので、ここだけの話にしておいて下さいね!(笑)。

<髙嶋家のこれが美味しい>

湧井:髙嶋家さんはなんといってもお酒に対するこだわりですね。わざわざ蔵まで行って田植えから関わっているほどの力の入れよう。このお酒へのこだわりがお店の特徴にもなっていると思いますね。

高嶋家 外観

髙嶋家の店頭(画像提供:髙嶋家)

鴛尾:ありがとうございます。日本酒にこだわるきっかけを作って下さったのは実は大江戸さん・湧井さんなんですよ。すごく勉強させてもらっています。鰻に一番合う飲み方は熱燗だと思うのですが、うちは高めの温度でお出ししています。そこからじわじわ冷めてくるくらいで鰻と合わせて飲むと、口の中で旨味が交わってとても美味しいんです。日本酒の温度で鰻の油が固まらず、最高の状態で食べられるので、ご自宅で楽しむ時もぜひ熱燗を合わせて頂きたいですね。

岩本:僕は髙嶋家さんの焼き鳥が好きですね。焼き鳥の種類にバリエーションがあるので、焼き鳥を肴に、日本酒を飲みながら鰻を待つ、という時間がなんとも良いですね。それと静岡・焼津で作られる「共水うなぎ」も扱っていますよね。共水うなぎは、四季を擬似的に作り出して天然に近い環境で育てるブランド鰻。旨味が強く身が引き締まっていて、これもまたぜひ食べていただきたいメニューです。

酒蔵

岩手の酒蔵まで足を運び、鰻に合う日本酒を仕入れる(画像提供:髙嶋家)

Q.お互いのお店の鰻の味の違いを教えてください。

岩本:僕は大江戸さん、最低でも各シーズン1回は食べにいきます。まぁとにかく美味しいですよね…。昔ながらの醤油が強めのタレですが、決してしょっぱくなくご飯によく合う絶妙なバランスで。鰻が何匹か並ぶボリュームのあるメニューもありますが、たくさん食べても不思議なほどもたれない、癖になる味です。

湧井:ボリュームがあるのは土曜限定でお出ししている「いかだ」ですね。開いた鰻を半分に切らずに二尾分をいかだのように並べたメニューで、大江戸の名物になっています。

いかだ

大江戸の土曜名物「いかだ」。重箱から溢れるほどのボリューム(画像提供:大江戸)

湧井:いづもやさんは、この三店の中では一番あっさりした味かな。蓋を開けた時の炭の香りと、そのあとの鼻から抜けるような鰻の香りはうな重の醍醐味の一つですが、いづもやさんの鰻は素材本来の持つ香りを特に感じることができると思います。あっさりしている分タレでごまかしが効かないので、素材へのこだわりは相当のものなんだろうなと思っています。

岩本:髙嶋家さんは、創業した明治の頃から継ぎ足されたタレが、何とも滋味深い味わいですよね。鰻は季節や産地によって味の変動があるのですが、素材に変化があっても鰻の良いところだけが際立たせるようなタレで、いつ行っても安定した美味しさが味わえます。

新宮:鰻を食べ慣れていない人が行っても、味の違いはわかるものでしょうか?

湧井:わかると思いますよ。でも最初はそんなに難しく考えなくて良いとも思います。皆さんがご自身の感覚で美味しいと感じて、お店での時間を楽しんでいただくことが一番大切なので。まずは足を運んでもらって、お店の空気感も含めて体験して頂けたら嬉しいですね。

Q.皆さん通販でも鰻の販売をされていますが、自宅で美味しく食べるコツや、アレンジレシピがあればぜひ教えて下さい。

※ご注文方法は記事下部をご確認下さい。

新宮:この状況の中で、各店舗皆様、「鰻の真空パック」を販売されていらっしゃいますよね。こちらについてもお聞かせいただきたいです。

湧井:各店舗とも、注文を頂いてからお店で焼いたものをそのまま真空パックしてお送りしているので、お店の味をそのまま楽しんでいただけるのですが、一工夫でさらに美味しくなると思います。たとえば温め方。真空パックの鰻をお家で温める手段としては湯煎が一番です。けど手間もかかるので袋に穴を開けて電子レンジにかける形でももちろんOKです。盛るときにも一工夫がありますよ。それは温めたあと、お皿に出すのではなく、そのままご飯にかけていただくこと。そうすると鰻の美味しさを余すところなく楽しめるんです。

大江戸テイクアウト

真空パックの一例(画像提供:大江戸)

鴛尾:付属のタレを少しご飯に混ぜて、先にタレご飯を作ってから鰻を乗せるのも良いですね。最後に残ったタレをかければ、バランスの良い鰻丼になります。ごはんと鰻は7:3の割合がベストです。

岩本:家でできるアレンジとしては、「鰻巻き」もオススメです。鰻を卵で巻くのが難しければ、細かく切って卵に混ぜるのも良いです。あと意外に美味しいのは「鰻のチャーハン」。タレと鰻の旨味が全体に行き渡るので、味付けは塩を振る程度でOK です。仕上げに粗挽きのブラックペッパーをかけると最高ですよ。(※鰻のチャーハンの詳しいレシピはこちら)https://www.facebook.com/bridginecom/posts/683255445582024

新宮:鰻のチャーハン!!ぜひ挑戦してみたいです…美味しそう…。各店舗の特徴もうかがったので、一つずつ購入して食べ比べるのも楽しそうですね。

高嶋家うまき 

アレンジにおすすめの鰻巻き(画像提供:髙嶋家)

鰻巻き

編集部でも鰻巻きを作ってみました。美味しく簡単にできます(画像:Bridgine編集部)

Q.最後に一言ずつメッセージをお願いします。

鴛尾:世の中が暗くなりがちな時こそ、元気を出しスタミナを付けるためにぜひ鰻を召し上がって頂きたいです!お家で楽しめるよう真空パックのご用意があるので、ぜひご利用いただければ嬉しいです。

岩本:僕はいつも言っているのですが鰻は“副作用のない世界最強の抗生物質”!美味しく体力作りができる、今の状況に最適な食材です。

湧井:そうそう、鰻はまさにパーフェクトフード。これだけビタミンが豊富な食べ物は他にないですし、免疫力をつけたい今のご時世にぴったりだと思います。どんな時にも “美味しいものを届ける”ということが我々料理人の社会的使命だと考えているので、鰻の力で少しでもお役に立てれば嬉しいです。一日も早く社会が戻るように祈りつつ、自由に外出できるようになったらぜひ日本橋のお店にもお越し下さい!

文:丑田美奈子(Konel) イラスト:マメイケダ

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