Interview
2020.05.27

今こそ出汁を究めよう。お家の和食をもっと美味しくする秘訣とは?
―特集:おうちで日本橋ごはん#3

今こそ出汁を究めよう。お家の和食をもっと美味しくする秘訣とは?
―特集:おうちで日本橋ごはん#3

「おうちで日本橋ごはん」サイトとの特別連携企画、第三回のテーマは「出汁」。自宅で過ごす時間が増えている今、より美味しい手料理を作りたいと頑張っている方も多いのではないでしょうか。そんな時に役立つのが、料理をグッと美味しくする縁の下の力持ち「出汁」です。今回は出汁の簡単な取り方や活用方法、おすすめのレシピまで、スペシャリストとも言えるお二人に伺いました。次々飛び出す料理のポイントは、今日の献立の参考になること間違いなしです。

【ご取材先】
日本橋ゆかり:三代目 野永喜三夫さん
株式会社にんべん:広報担当 中村拓美さん
【ファシリテーター】
フリーアナウンサー:新宮志歩さん

Q.はじめに自己紹介をお願いします。

野永喜三夫さん(以下、野永):昭和10年創業「日本橋ゆかり」3代目の野永です。服部栄養専門学校卒業後に京都の「露庵 菊乃井」にて6年半修行し、日本料理をきっちり勉強してから日本橋ゆかりに入りました。なので僕の料理は京都と東京の良いとこ取り。実はTV番組の「料理の鉄人」での優勝経験もあるんです!お料理の監修や和食の親善大使など、食にまつわるさまざまな活動に取り組んでいます。

■ゆかり外観
■カウンター画像

日本橋ゆかりの店舗(画像提供:日本橋ゆかり)

新宮志歩さん(以下、新宮):多くの方と連携しながら、幅広い活動をされていますよね。

野永:食にまつわる幅広い活動に参加する一つの理由は、日本人の和食離れが気になっているからです。和食離れの背景には、和食作りに難しさを感じている方が多くいらっしゃるということがあると思います。なので、”和食は簡単に作れるよ”ということを啓蒙して、和食文化を盛り上げていきたいと思っています。

朝食にパンというのも良いですが、ごはんと具沢山の味噌汁だけあれば、一汁三菜にこだわらなくても腹持ちが良く栄養満点の美味しい朝ごはんになります。そんな風に日常生活に和食を簡単に取り入れていただきたくて、「フライパンで和食」という本を出したり、簡単なレシピをにんべんさんと共同開発したりと、さまざまな挑戦をしています。そうそう、最近は料理動画も配信してるんですよ、YouTuberになろうかと思って(笑)。

■野永さんポートレート

「日本橋ゆかり」三代目店主・野永喜三夫さん(画像提供:日本橋ゆかり)

中村拓美さん(以下、中村):日本橋名店のYouTuber店主、新しいですね(笑)。今お料理の動画を求めている人が多いですし、すごく喜ばれるのではないでしょうか。

野永:そうだと良いですね。にんべんさんも和食や出汁文化の啓蒙のために幅広く活動してますよね。

中村:はい、ありがとうございます!私は広報と食育がメインの担当で、「にんべん」の商品はもちろん鰹節を中心とした出汁の文化や魅力を伝え広めることもミッションです。1699年に日本橋で、初代髙津伊兵衛が戸板に鰹節や干魚類を置いて商売を始めたことが、にんべんの創業です。鰹節の専門店というのが主軸ですが、2010年に「COREDO室町1」に本店を移転したのと同時に「日本橋だし場」をオープンし、飲食営業も開始しました。「出汁の体験」という新たな提案がお客様からご好評をいただき、これをきっかけに出汁文化の啓蒙にも力を入れるようになりました。だし場ブランドの商品を作ったり、お弁当業態をやったり、時代にあった新たな取り組みに常にチャレンジしています。

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にんべん日本橋本店内では、本枯鰹節の削り実演が見られる(画像:Bridgine編集部)

新宮:今日はお二人ともお店のコスチュームでいらして頂きました。野永さんもお馴染みの白衣ですね。

野永:もちろん。これが僕の正装ですからね。

中村:野永さんがきっと正装していらっしゃると思ったので、私も今日はにんべんエプロンを着用してみました!あとこの、「カツオ解体君」も連れてきました(笑)。食育のワークショップなどで使っているのですが、部位ごとに取り外せるようになっていて、カツオや鰹節づくりのことがよくわかるんです。

野永:解体君!うちのお店でも持ってるよ。

中村:実はにんべんのネットショップからも買えるんです。鰹節の商品に比べてだいぶ高いですが…一応宣伝させてください(笑)。

■カツオくん1

にんべんの「カツオ解体君」(画像提供:にんべん)

Q.自宅で簡単に出汁を取る方法は?

新宮:自宅で過ごす時間が増えている今こそお料理を究めたい!という方も多いと思いますが、日々の料理で出汁を使いこなすのはなかなかハードルが高い…という面もありそうです。何か自宅で簡単に出汁を楽しめる方法はありますか?

中村:にんべんでは「だしポット」というレンジで出汁が取れるという商品を販売しています。他のメニューを調理しながら出汁を取りたい時にとても便利です。使い方は、だしポットに鰹節18gと水600mlを入れて、500Wのレンジであれば7分温めるだけ。だしポット用の鰹節もご用意しています。

野永:普通にコンロを使って鰹出汁を取るより時間はかかるけど、レンジで取れると他の料理と並行できるから便利だね。

中村:そうなんです。だしポットは “ながら料理”に向いていて、2口コンロで同時に何品か作りたい場合や、赤ちゃんがいてなるべく火を使いたくない方などにおすすめです。

■だしポット

にんべんの「だしポット」(画像提供:にんべん)

新宮:野永さんからも何かアイディアはありますか?

野永:うちの店では 水と昆布、鰹節で毎日出汁を取っているのですが、これを家でやるとなると時間もお金もかかって大変です。僕だって家ではやらないですもん(笑)。家の料理ではパパッと簡単に準備できればと思いますね。大切なのは出汁の意味を理解すること。たとえば味噌汁ひとつでも、切った食材を水に入れて煮立たせ味噌を溶きました、だけでは美味しくないですよね?それは出汁が入ってないから。出汁の有無で和食の味は大きく変わり、出汁を入れることで旨味が足され料理が美味しくなる。それこそが出汁を使う意味なんです。意味さえ理解していれば市販の出汁パックでも白だしでもつゆの素でも、気負わずにお好きなものを使っていただければ良いと思いますよ。

新宮:出汁パックは確かに便利ですよね。私もよく使うのですが、にんべんさんの商品ではどんなものがおすすめですか?

中村:弊社の商品は数百種類あるので、目的によっておすすめも変わってきますが…、私が今日ご紹介したいのは「薫る味だし」という商品です。6袋入りで540円とちょっと高級ですが、国内製造の鰹節や北海道産の昆布を使って“料亭の味が再現できるように”と作られています。あ、野永さんの前で料亭の味と言うのもおこがましいですが…(笑)、でもそのくらいこだわっています!そしてこちらは出汁素材・塩・醤油だけで無添加なのも特徴です。

■薫る味だし

中村さんおすすめの出汁パック「薫る味だし」(画像提供:にんべん)

野永:こういった便利な商品が手元にない!という場合は、もちろん一からご自宅で、簡単に出汁をひいていただくこともできますよ。たとえば昆布と鰹節を使った出汁を作りたければ、夜寝る前に水1800ccに昆布25gをつけておくと準備がとてもラク。長時間水につけておくことで、ゆっくりと旨味が出て美味しさも増します。朝起きたら超弱火で火にかけてじっくり温度を上げ、60℃~70℃を保って30分程温めます。ゆっくり温めて、沸騰する直前で火を止めて鰹節20gをふわっと入れると、それこそ料理屋に負けないような美味しい出汁になります。この出汁で朝の味噌汁を作れば最高の朝食です。
ちなみにお料理に使う出汁なら旨味が強いほど美味しくなるので、「真昆布」というしっかり味の昆布がおすすめですよ。

新宮:出汁をたくさん作った時の保存はどうすれば良いのでしょうか?

野永:たしかに1800cc作ると一回では使いきれないですよね。出汁の保存は冷めてからジップロックに入れて、冷凍すればOKです。ぺたんこにすれば場所も取りませんし、解凍も早くて使いやすいですよ。1週間を目安に使いきるようにして下さい。

ZOOM

次々にレシピのアイディアが飛び出した、今回のオンライン取材(画像:Bridgine編集部)

Q出汁を使った簡単レシピを教えてください。

野永:僕の一番のおすすめは豚汁ですね。なぜかと言うと豚汁には和食の楽しさが詰まっているから。さまざまな具材を彩りを考えながら選んで、厚みや形などを工夫して切って、出汁とともに煮て味噌と合わせて完成する。料理が変化していくのを楽しみながら、和食のコツを五感で学べるのが豚汁です(レシピはこちら)。ちなみにおすすめは最後に粉チーズをかける食べ方です。

■豚汁

野永さんとにんべんのコラボレシピ「具だくさん豚汁」(画像提供:にんべん)

新宮:豚汁にチーズですか?!

野永:びっくりするかもしれないけど(笑)、味噌もチーズも乳酸発酵食品だから意外に合うんですよ。それに豚汁はごはんと合わせるのが王道ですが、同じ炭水化物であるパンとも合う。以前フランスで粉チーズをかけた豚汁にバゲットを添えて、ディップする食べ方を提案したら大好評でしたよ。

中村:それは良いですね。そんな風に自由に出汁を楽しむのが理想だと思います。自由に考えるという意味では、必ずしも出汁を取らなくても、鰹節を料理に“トッピング”することも出汁の楽しみ方のひとつではないでしょうか。出汁を取ることにハードルを感じている方でも、「追い鰹節」なら気軽に取り入れながら、出汁の旨味を存分に楽しんで頂けると思います。今の時期ならオニオンスライスに鰹節をたっぷりかけるだけでもグッと美味しくなりますし、鰹節からタンパク質も摂れますよ。

野永:そのとおりだよね。カレーに鰹節をトッピングするのも良いし、鰹節とごま油をアクセントに使った和風コールスロー(レシピはこちら)なんていうのも美味しいよ。

■和風コールスロー

野永さんとにんべんのコラボレシピ「和風コールスロー」(画像提供:にんべん)

中村:キャベツと言えば、先日友人にレシピを紹介して絶賛されたのが「キャベ玉サラダ」です。千切りした春キャベツと新たまねぎに、薄口醤油、柚子胡椒、オリーブオイルを合わせ、最後に鰹節をかけるというシンプルなサラダですが、ここでも鰹節が良い仕事をして、旨味たっぷりの一品になります。

野永:それも美味しそうだね。鰹節をトッピングとして使うなら、一手間かけて中火でから炒りするのもおすすめ。香ばしさが増してさらに料理を引き立てますよ。

Q.通販・テイクアウト商品のご紹介をお願いします

新宮:日本橋ゆかりさんでは今特別なお弁当メニューも出しているんですよね?

野永:はい、限定のお弁当を何種類かご提供しています。「豚の角煮揚げ重弁当」は東京Xの豚バラを角煮にしてから揚げたものが、「日本橋のり弁」は天然の春マスの西京焼きがメインのお弁当です。味だけでなく材料にもこだわっていて、のり弁は海苔は日本橋の井上海苔店さん、その下の鰹節はにんべんさんのもの。“チーム日本橋”をテーマに、いろいろな方のご協力をいただきながら、「のり弁をどこまで美味しくできるか」という挑戦をするつもりで作りました。それと「東京X豚のさっぱりすだちポン酢弁当」もおすすめで、こちらにもにんべんさんの鰹節が隠し味に入っているんですよ。日本橋ゆかりで食べたことのない方にもお試しいただきたいので、いずれも1,000円にしました。

新宮:美味しそう…この内容で1,000円はすごいですね。お腹が空いてきました(笑)

弁当 西京焼き

「日本橋のり弁」(画像提供:日本橋ゆかり)

弁当 角煮

「豚の角煮揚げ重弁当」(画像提供:日本橋ゆかり)

■東京X豚丼

「東京X豚のさっぱりすだちポン酢弁当」(画像提供:日本橋ゆかり)

中村:にんべんでは鰹節やお出汁など、あらゆる商品をネットショップでご購入いただけます。先ほどご紹介しただしポットと専用の鰹節をセットにした商品もあるのでぜひご覧ください。ネット限定では、さらに「つゆの素ゴールド」シリーズのミニサイズ(300ml)セットもご用意してますので、お試し感覚で取り入れていただくのにおすすめです。何を買おうかと迷った時は「日本橋だしの料理帖」をご覧いただくと、野永さんと共同開発したレシピが載っているので、それを見てどんな商品を使うか考えるのもおすすめです。野永さんのレシピは本当に取り入れやすくてお子さんも食べやすいと思います。

■レシピ

野永さんとにんべんのコラボレシピを集めた「日本橋だしの料理帖」(画像提供:にんべん)

野永:家で作りやすい、簡単なものばかりです。たくさんあるのでぜひいろいろ試してほしいです。

Q.最後にメッセージをお願いします。

中村:私自身も家で過ごす時間が増え改めて感じているのは、“美味しいものを食べることが心の充実につながる”ということ。自宅での料理が皆さんの良いストレス発散につながればと思いますし、それを叶えるために、にんべんの商品がお役に立てれば嬉しいです。

野永:僕は家でのごはんやお酒が美味しすぎて、また丸くなってしまいました(笑)。食べ過ぎは良くないですが、免疫を高めるためにも、旬の美味しいものをしっかり食べるのは大事なこと。そして和食に豊富な発酵素材も取り入れて、腸内活性やデトックスを意識していただけたらなお良いと思います。日本人の死亡率が低いのは、その食生活のおかげかもしれないと言われてますよね。そんな良いことづくしの和食生活を充実させるために、まずはぜひ、僕たちのレシピを試してみて下さいね!

文:丑田美奈子(Konel) イラスト:ajisa(Konel)

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