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2026.04.22

書くことを通じて「好きな街」を「自分の街」に。ー「街のライター入門」連続講座リポート

書くことを通じて「好きな街」を「自分の街」に。ー「街のライター入門」連続講座リポート

2026年2月〜3月にかけて、日本橋のコミュニティラボ「+NARU NIHONBASHI」にて、<「なんとなく好き」が、書けるようになる|街のライター入門>が開催されました。Bridgineは日本橋で取材を続ける街メディアとして、本イベントの企画・講師を担当。取材の基本から記事執筆までを学ぶ連続講座を通し、書くことや街と関わることの楽しさを参加者と共有しました。本記事では、この講座のハイライトをお届けします。

なぜ今、日本橋で「街のライター」なのか

街のコミュニティラボとして2023年から活動している「+NARU NIHONBASHI」(以降、+NARU)。会員数は4000人を超え、多種多様なイベントが日々開催される活気溢れる場所です。

Bridgineはこれまでも+NARUの活動に注目してきましたが、(参考記事:「好奇心から関係を紡ぐ。+NARU NIHONBASHIが体現する、街のオープンスペース像とは?」)関わる人が増えるにつれ、+NARUの運営メンバーは「街が“好き”を超えた、街を“伝える”人を増やしたい」という思いを強くするようになりました。日本橋の魅力や+NARUの活動を対外的に伝えていく人々を、緩やかに繋がったコミュニティにできないかー。 その実現方法を模索する中で、Bridgineと伴走してきた筆者が講師を務めるライター講座を立ち上げることに。書く行為を通じて街を自分ごとに感じる人が増えることを願って、単なるスキル習得だけではない、街に意識を向けながら楽しくライティングに向き合う講座作りを心がけました。

第1回:街のライターの基本編 〜ライターの「視点」を養う

2月18日の初回に集まった参加者は7名。「書くことが好き」「もっと表現力をつけたい」「日本橋に関心がある」とそれぞれの動機で参加していましたが、皆さん前向きな方ばかり。冒頭からポジティブな雰囲気に包まれて講座はスタートしました。

初回の講座は、ライティングの基本と街のライターとしての視点づくりがメイントピックに。

ネットメディアやSNSなど情報コンテンツが劇的に増え、文章を書くことが身近になった結果、現代はいわば“総ライター時代”です。その中で自分にも社会にもプラスになるような文章を書けると良いですね、という呼びかけに、皆さん大きく頷いて下さいました。

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次に、ライター活動の事例としてBridgineの企画→取材→執筆の流れを紹介。実際の現場がどのように動いているのかをイメージして頂きました。

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講義資料より

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そして「街のライター」とは何なのか?どんな視点を持つと良いのか?ということも、今回の大切な要素。原稿執筆の基本的なポイントに加えて、街の記事で特に大切にしたい「ライブ感」や「ライターの独自視点」なども共有しました。

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講義資料より

このポイントを踏まえ、後半は「私の好きな街」をテーマにショートエッセイを書く時間を設けました。

30分という短い時間の中で、皆さん悩みながらも自身の故郷や今住んでいる街などに関する文章を綴ります。完成した文章をシェアして読み合う時間には、たくさんの感想が出てきました。

「共通のテーマでも、出来上がった文章は人それぞれ。その違いが面白い。」

「書き手の人柄や街への思いが滲みでている。」

「文章の書き方も個性があって参考になる。」

などなど。書いた文章を皆で読むという、普段はなかなかない体験から学ぶことが多かったようです。

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第1回講座の後日、有志で日本橋の街を歩く機会も。意外と知らないスポットや街のエピソードも参加者に好評でした(撮影:+NARU)

第2回:街のインタビュー実践編 〜聴く・書くの極意

第2回は3月10日に開催。この日のメインはインタビュー記事の取材です。

取材の事前準備の大切さや、インタビューの心構えやコツなどをお伝えしたあと、実際にゲストを呼んで公開インタビューを実施しました。

ゲストは 株式会社Goldilocks代表で、+NARUの企画運営も手がける川路武さん。アットホームな雰囲気で、川路さんの起業までの経緯やコミュニティに対する考え、+NARUの活動の裏側などをお話し頂きました。インタビューの後半には参加者からの質問タイムも。東京以外の活動についてや川路さんの考え方を形成した生い立ちについてなど、さまざまな視点からの質問が投げかけられました。

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公開インタビューの様子。参加者には+NARUという場所自体に関心が高い方が多かったため、施設に込められた思いを改めて知れたことも収穫だったようです。

インタビュー終了後は、“川路さんのインタビューを次回講座までに記事にする”という宿題を発表。インタビュー記事執筆に向けたライティングのコツや、推敲時のポイントを学ぶことで、宿題のガイドラインとしました。

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講義資料より

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第3回:記事のブラッシュアップ編 〜より良い記事にするために

3月24日開催の第3回講座は、いよいよ自身が書いた記事に向き合う回です。

1週間という期限の中で3000文字の記事を仕上げるのはなかなか難しいだろうな...という筆者の予想に反して、皆さんとても素敵な記事を完成させてくださり、感心するばかりでした。

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執筆課題のテーマとターゲット。記事を読む相手を意識して原稿作りに取り組みました。

参加者の皆さんが執筆してみての感想は以下の通り。普段はなかなかない体験が新鮮だったようです。

「何から書くかで悩んで、書き起こしを削るところからスタートした。まず手を動かすことが大切だと感じた。」

「現地でお話を聴いたあと、インタビューの録音を聞き直すことで発見があった。」

「読む側の頭になったり書く側の頭になったりすることが新鮮だった。」

「表現や構成を考えながら、それを3000字にまとめるのが大変だった。」

「普段よく記事を読むが、記事を書くことはこんなに難しいことなんだと実感した。ライターってすごい!」

感想のシェアのあとは、筆者から一人ずつ原稿のフィードバックをしました。参加者それぞれの特に素晴らしかった点と、これからさらに良くするためのアドバイスをお伝えすると、皆さんメモをしながら熱心に聴いて下さいました。

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講座の終盤には、第1回で記事の事例として挙げていた「AI蔦谷重三郎」を使って生成AIによる編集体験のデモを実施。

参考:「江戸のメディア王が、令和に転生したら。「AI蔦屋重三郎」が千代田区で挑む新たな文化継承の形とは?

AI蔦谷重三郎のリアルな江戸っ子口調に笑いも起こりつつも、AIがもはや記事をまとめるサポート役ではなく、さらに上流の文章を企画・編集するブレーン役になってきていることには、皆さん考えさせられる部分があったようです。

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これからのライターは、社会関係資本を耕す存在へ

講座の最後は、筆者から「未来のライターの役割はどうなっていくのか」という現代ならではのテーマを投げかけました。

文章執筆という分野においてもAIが台頭していく中で、人間のライターの役割はどうなっていくのでしょうか?

ライターに求められるものは、時代とともに情報をまとめる代筆者→独自の視点を求められる表現者に変わってきました。そしてこれからは、生身の人間だからこその身体性を活かし、取材や執筆の先にいる人を繋いで新たなネットワークやチャレンジを生みだす、社会関係の構築者としての役割を期待されるようになっていくと考えます。

そしてこれは、Bridgineの立ち上げ時からこのメディアに伴走してきた筆者が見据える、これからのライターの希望でもあります。

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この社会関係資本(ソーシャルキャピタル)を耕す行為は、街に豊かなコミュニティを持つ+NARUの活動とも親和性の高いものです。そのことを示すように、今回の参加者アンケートでは全員が「これからも+NARUや日本橋での活動に関わりたい」と回答して下さいました。

未来のライターのあり方を、今回の講座から生まれた街のライターたちが体現する日も遠くないかもしれません。これからの+NARUやBridgineの活動にぜひご注目ください。

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参加者の皆さん(一部)と+NARUコミュニティマネージャーの中岡さん(左から3番目)

講座講師・文:丑田美奈子(Konel)
企画者:中岡映治(+NARU NIHONBASHI)
写真:岡村大輔

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