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2023.03.10

和歌山つながりで生まれたご縁を、日本橋で具現化。生産者と一緒につくる春色の手みやげ 【つなぎふと TEAM B】「DOBUROKU ROUGE」商品紹介

和歌山つながりで生まれたご縁を、日本橋で具現化。生産者と一緒につくる春色の手みやげ 【つなぎふと TEAM B】「DOBUROKU ROUGE」商品紹介

日本橋の新しい食みやげをコラボレーションで開発するプロジェクト「つなぎふと」。「平和どぶろく兜町醸造所」と「La Paix」がタッグを組むTEAM Bからは、桜の季節にぴったりな「Doburoku Rouge」が誕生しました。かわいらしいピンク色が特長のどぶろくには、両者の共通点でもある“和歌山”産のいちご「まりひめ」と柑橘がたっぷり。本記事では日本橋から和歌山の魅力を伝えたいと取り組んだ二者の思いや、いちごや柑橘を育てる生産者さんのお話しも交えながら、「Doburoku Rouge」の魅力を紹介します。

日本橋の地から「和歌山」の魅力を発信

五街道の起点でもあり、古くから全国の地域のハブとしての役割を担ってきた日本橋。そんなこの街ならではの特性を「つなぎふと」で表現しようとチャレンジしたのが、和歌山で100年以上続く酒蔵・平和酒造が手がけるどぶろくのブルワリーパブ「平和どぶろく兜町醸造所」と、和歌山県出身の松本一平シェフが腕をふるうフレンチレストラン「La Paix」のTEAM Bでした。

和歌山県に縁のある両者は、日本橋の地においても地元の食材を積極的に取り入れています。例えば、「平和どぶろく兜町醸造所」では和歌山名産の梅をフレーバーに使ったどぶろくを醸造所で仕込んでいたり、和歌山県の特産品・山椒や柑橘のピールを使ったクラフトビールも大人気。

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和歌山県産の柚子ピールをきかせた平和クラフトのホワイトエールは、爽やかな風味にファンが多い(画像提供:平和酒造)

「La Paix」ではシェフが季節に応じて和歌山県から魚介やジビエ、フルーツを仕入れてコースの随所に使っており、旬を味わえる数々のお料理を楽しみにしているファンが多くいます。

そんな両者が「つなぎふと」で取り組んだテーマは“和歌山の魅力を日本橋から発信すること”。お互いが各店舗ですでに仕掛けている発信を、二者が組むことによってよりパワーアップさせ、日本橋をハブに、和歌山の知られざる魅力を東京や全国に知ってもらえるものを作ろうと商品開発を進めました。

選んだ食材は和歌山を代表するフルーツ、「まりひめ」と柑橘

平和酒造の代表・山本典正さんは、「素材を大事に生かしながら遊び心を加えるシェフのスタイルが好き」と、普段から「La Paix」にも通う松本シェフのいちファン。そのシェフが今回こだわったのは、「和歌山を知ってもらうために、和歌山にいる生産者の顔が見えるようなものを」ということでした。

松本シェフが今回選んだ食材は、La Paixのコース料理でも使っている和歌山県・はないちご農園の「まりひめ」と、藏光農園の「ゆら早生」をはじめとした柑橘類。

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ペーストの分量は松本シェフと醸造家の宿南さんで意見交換。通常平和どぶろく兜町醸造所で出しているフレーバーどぶろくよりも、「Doburoku Rouge」は少し多めの配分にしたそう(編集部撮影)

「まりひめは東京ではあまり見かけないいちごですが、和歌山県内ではとてもポピュラーな品種。お付き合いのある“はないちご農園”のものは特に香り高さと濃い甘みが特長的で、毎年春のコースでは料理のアクセントとして使っています。また、オープン当初から使っている藏光農園の柑橘類は酸味と甘みのバランスが素晴らしく、果実はもちろん、果皮もソースやコンフィチュールにして、デザートや前菜、時にはメインと、幅広く使っています」(松本シェフ)

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藏光農園の柑橘を使ったデザートと、春のコースのデザートで提供されるまりひめと桜を使ったデザート。味のこだわりはもちろんのこと、見た目の美しさも松本シェフならでは(画像提供:La Paix)

どちらも本来主役になるようなフルーツですが、この二つを組み合わせるのが松本シェフならではのこだわり。

「せっかく和歌山の魅力を伝えられる機会だから、何か一つじゃなくて和歌山の食材同士の掛け合わせを楽しんでもらえたらと思います。どちらも今が旬ですし、色もお花見の時期にぴったりのピンク色になるのでは? と考えたレシピです。いちごの香りと色をメインにして、柑橘の風味が後味に残るようなバランスを意識して作りました」(松本シェフ)

つながるご縁を、日本橋の手みやげとして表現

こうしてシェフ独自のレシピでどぶろくのフレーバーとなるピンク色のペーストが生まれましたが、実はまりひめと柑橘がシェフのレシピで出会う前から、生産者同士や、生産者と平和酒造がつながっていたというご縁もありました。

「5kmくらい離れたところでお互いが農園をやっているので、藏光さんと交流はあるんです。とても活動的な方で、大阪に出店するときに誘ってもらったり。今回松本シェフから、藏光さんの柑橘類とまりひめを合わせて商品にしたいとメッセージをいただき、地元の仲間が作った食材と一緒に使ってもらえるなんて! とすごくうれしかったです」(はないちご農園・田渕さん)

「シェフとはLa Paixさんのオープン時よりつながっていますが、平和酒造の山本社長とも親しくさせてもらっていて、昨年平和どぶろく兜町醸造所にも伺いました。どぶろくって、もっと濃くてどろっとしたイメージだったのですが、兜町で飲んだものはスッキリと飲みやすかった印象で、今回シェフからお話をいただいたときに、そのどぶろくに使ってもらえるんだ! と楽しみになりました」(藏光農園・藏光さん)

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藏光農園から平和酒造へ、不知火の差し入れ。お酒を仕込む時期に忙しい社員の方のビタミン補給に?!(Twitterより)

和歌山県でつながっていたご縁が、日本橋で具現化された「Doburoku Rouge」。和歌山の地で作られているいちごと柑橘の特長やこだわりについても生産者のお二人に聞いてみました。
「まりひめの特長は、コクのある甘みと香りです。とくにシェフがペーストを作ってくれた冬は味も香りも濃いものが採れるんです。なかなか和歌山県外に出回ることがないため、今回こういう形で東京でもまりひめの存在を知ってもらえそうでうれしいですね」(田渕さん)

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「まりひめ」は和歌山県が開発したオリジナル品種。「さちのか」と「あきひめ」を交配してできた品種で、2010年に品種登録がされたそう(画像提供:はないちご農園)

「柑橘は水分を吸うほど大きく育つのですが、その分水っぽくなってしまうので、水を吸いすぎない工夫をして、あえて小さめに作り、その分味が濃くなるようにしています。今回のどぶろくでいちごと合わさっても、しっかり柑橘の風味が残っているのは元の果実の味が濃いからだと思います」(藏光さん)

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「Doburoku Rouge」に使われているゆらわせみかんをはじめ、ハッサク、甘夏、ぽんかん、きよみ、不知火など、さまざまな種類の柑橘を育てる藏光さん。それぞれの旬が違うので、食べ比べセットなどの注文も受けている(画像提供:藏光農園)

差し入れや、ホームパーティーの1本に。あの身近な食べ物にもぴったり?!

「果物の香りが立っていたからか、お酒が飲めない母親も一口飲んでみたいと(笑)。一緒に飲んだ父はこんなフルーティーなどぶろくが作れるのか、と驚いていましたね」(田渕さん)

「ちょっとスパイシーな香りや風味で、僕の中のどぶろくのイメージが平和どぶろくさんによってどんどん変わっていきます」(藏光さん)

生産者のお二人やご家族も驚いたという“新感覚”どぶろく「Doburoku Rouge」ですが、どんなシチュエーションに飲むのがおすすめか、今回醸造を手がけた平和どぶろく醸造所の宿南さんに聞いてみました。

「ホームパーティーに招かれたときや、家で友人を呼ぶときなどに、みんなで飲んでもらえたらいいですね。ほんのり微発泡なので、ビールやスパークリングで乾杯する代わりに飲んでもらったり。どぶろくってこういうものもあるのね!と、思ってもらえたらうれしいです」。

松本シェフとのコラボレーションということでボトルにもフレンチエッセンスが加わり、ワインボトルのようなデザインになっているので、華やかなホームパーティーへのお土産や、来客時の場に映えそうです。

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フレンチエッセンスを加える意味でも、商品名はフランス語で「赤」を意味する「どぶろくルージュ」に。幅広い年代の方に手軽にどぶろくに親しんでほしいという願いも込めて、原料でもある米といちごをラベルのグラフィックでかわいらしく表現

宿南さんのコメントを聞いた藏光さんからは、

「どぶろくの意外性、という意味では今度家でカレーを食べるときに合わせてみようかと思って。ラッシーのような感覚で『Doburoku Rouge』とカレー、合いそうじゃないですか?!」というアイデアも。

これには宿南さんも大賛成で、

「お店で実はコク出しにどぶろくを使った“どぶろくカレー”も出しているんです。藏光さんのアイデアに倣って、カレーと『Doburoku Rouge』のマリアージュをおすすめしてみようと思います」と、積極的な姿勢でした。

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平和どぶろく兜町醸造所で人気のお米のコクがプラスされた「どぶろくカレー」。お酒を飲んだ後の締めの一品に頼まれることも(画像提供:平和酒造)

和歌山はパンダだけじゃない。実は食材の宝庫!

最後に、「Doburoku Rouge」に関わった皆さんに、それぞれが考える商品の推しポイントや和歌山の魅力を教えてもらいました。

「平和酒造に就職するときに大阪から出てきたのですが、近所に野菜の直売所があったり、ジビエも売っていたりと、和歌山の食材の豊富さや新鮮さに驚いています。『Doburoku Rouge』をきっかけに、和歌山の食材に興味を持ってもらえたらなと思います。和歌山の先輩方とこういう形でつながれたのもすごく貴重な経験でした」(平和どぶろく兜町醸造所・宿南さん)

「アイスとか、クッキーではなくどぶろくになってわが子(いちご)が帰ってくるとは! 僕自身『Doburoku Rouge』を通してフルーツの新しい楽しみ方を発見しました。いちごと柑橘の組み合わせを家で楽しんでもらいつつ、和歌山ってどんなところかな、知りたいな、と思ってもらえたらいいですね」(はないちご農園・田渕さん)

「和歌山はパンダだけでなく、海の幸も山の幸もある食材の宝庫ということを、もっと多くの人に知ってもらいたいですね。このような形で和歌山食材を知ってもらえる機会をもらえたので、僕自身ももっと色々なジャンルのレストランに自分たちが作っている食材を知ってもらえる努力をしていきたいと感じました」(藏光農園・藏光さん)

「La Paixではサクラフェス期間中から和歌山食材を使ったコースを提供しているので、いちごや柑橘だけでない和歌山の魅力に触れてもらえたらうれしいです。これをはじめの一歩に、日本橋から世界に向けて和歌山の魅力を発信していきたいですね」(La Paix・松本シェフ)

日本橋にいる仲間だけでなく、縁のある地域の仲間も巻き込んで作り上げたTEAM Bの『Doburoku Rouge』は、3月17日より開催されるSAKURA FES NIHONBASHIでお披露目となります。

同時期にLa Paixでは和歌山コースのペアリングドリンクとして提供されますし、平和どぶろく兜町醸造所でも販売されますので、春のお出かけついでにぜひお立ち寄りください。

構成・文:古田 啓(Konel) 撮影:前川裕介

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