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2023.03.13

厨房から最も近い産地!? 日本橋産の素材でつくる極上のイタリア伝統菓子【つなぎふと TEAM C】「日本橋のはちみつをたっぷり使ったふんわりパネットーネ」商品紹介

厨房から最も近い産地!? 日本橋産の素材でつくる極上のイタリア伝統菓子【つなぎふと TEAM C】「日本橋のはちみつをたっぷり使ったふんわりパネットーネ」商品紹介

地域の事業者同士のコラボレーションによって日本橋の新しい食みやげをつくるプロジェクト「つなぎふと」。日本橋三越本店とマンダリン オリエンタル 東京がタッグを組むTEAM Cが送り出すのは、日本橋三越本店の屋上で採られた日本橋産ハチミツを用いて、ホテルメイドにこだわるマンダリン オリエンタル 東京がつくるイタリア伝統菓子「パネットーネ」です。地場産のハチミツを用いることで商品名の通り、ふんわり&しっとり食感が実現した日本橋の新しい食みやげは、パネットーネ=クリスマス菓子という既成概念を覆す、春の季節にこそ楽しんで頂きたい逸品です。

各国で人気上昇中のイタリア伝統菓子

近年、ドイツ発のシュトーレンに続くクリスマス菓子として注目を集めているイタリアの伝統菓子「パネットーネ」。
クリスマス時期に日本のパン屋さんやお菓子屋さんに並ぶ機会も増えているので、すでにご存知の方も少なくないかもしれません。
伝統的なパネットーネは、小麦粉、砂糖、卵、バターを混ぜ、天然酵母で発酵させた生地に、レーズンやオレンジピール、イタリアの柑橘「チェードロ」の砂糖漬けを加えて焼き上げますが、つくり手によって不思議と味わいが変わると話すのは、イタリアに視察に行くほどパネットーネに魅せられているマンダリン オリエンタル 東京のヘッドベーカー・中村友彦さんです。

「シンプルだからこそつくり手は素材にこだわり、特に天然酵母の管理に力を注いでいます。
イタリア人にはそれぞれお気に入りのパネットーネがありますし、パネットーネの大会に来ていた多くのイタリア人ファミリーが、1キロほどの大きなパネットーネを5個も6個も買っていて驚きました。
本来パネットーネはクリスマス前に少しずつ食べるものですが、1~2日で食べ切ってしまうイタリア人も多いんです(笑)」

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2回に分けて生地をこね、発酵にも数時間を要するパネットーネだが、マンダリン オリエンタル 東京では生地をより安定させるために、さらにもう1回本捏ねの工程を加えている。そのため、完成までに3日がかかるという。(画像提供:マンダリン オリエンタル 東京)

そんな微笑ましいエピソードを教えてくれた中村さんですが、フランス系のベーカリーで経験を積んできた彼はパネットーネのどこに魅力を感じたのでしょうか。

「パン・ド・カンパーニュなど天然酵母を使うフランス系のパンの場合、安定した発酵を妨げてしまう砂糖は使わないのですが、パネットーネに使う天然酵母は砂糖を加えても発酵が進み、酸味も抑えるように調整しています。これまでに食べたことがない味わいや食感で、日持ちもするパネットーネにポテンシャルを感じました」

パネットーネの人気は各国に広がっているようで、イタリアで行われる大会には世界中からエントリーがあるそうです。ザ マンダリン オリエンタル グルメショップでは、2020年からパネットーネを通年販売していますが、クリスマス時期の売上は年々倍増しているそうで、中村さんも裾野の広がりに手応えを感じているようです。

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虫嫌いがミツバチに愛情を抱くまで

三越の食品バイヤーである高田幸子さんも中村さんが参加していた国内のパネットーネの大会で、その盛り上がりを肌で感じたそうです。

「色々なつくり手のパネットーネをいただくことで奥深さを感じましたし、今後さらに裾野が広がっていくだろうと感じました。
イベントでは中村さんが熱く語っていらっしゃったのが印象的だったのですが、まさかすぐにご一緒できる機会が訪れるとは思っていませんでした」

今回のパネットーネでは、砂糖の代わりに一部ハチミツを使用していますが、高田さんはこの日本橋産のハチミツづくりを主導した人物でもあります。
当時の担当フロアの取引先だった「ラベイユ」を通じてハチミツの奥深さに触れ、養蜂に関心を抱くようになったそうです。

「パリのオペラ座やロンドンのデパートの屋上など、海外では都市の真ん中で当たり前のように養蜂が行われることを知り、日本橋三越でもできないかと2015年頃から構想し始めたんです。
当初は上司や同僚から相手にされなかったのですが、日本橋でしか紹介できないお品物が提案できること、お中元やお歳暮などギフト商品にもなることなどを説明した上で、なんとか理解してもらうことができました。その後も普及活動のためのイベントなどをしていたので、当時は社内で『ハチの人』として認識されていました(笑)」

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女王蜂が一度巣箱から逃げ出すなど、自然を相手にする養蜂にはハプニングも少なくなかったそうだが、だからこそ製品になった時は感慨深かったという(画像提供:日本橋三越本店)

さらに、地域のコミュニティの集会に出向いてプロジェクトの説明をしたり、最近では小学生向けに養蜂箱のペインティング・ワークショップを行うなど、地域の理解を得られるように努めてきました。

「ハチミツづくりを通じて、自社製品の開発だけではなく、地域との関係を深めたいという思いが当初からありました。また、ミツバチが色々な花から蜜を摂ることは受粉の手助けにもなるし、街の緑化のお手伝いをしたいと考えていました」(高田さん)

街の未来にまでイメージを膨らませながら、プロジェクトを推進してきた高田さん。
彼女のスマートフォンの待ち受け画面になっているミツバチの写真からも並々ならぬ愛情が伝わってきますが、実はこのプロジェクトに取り組む以前は虫が苦手だったそうです。

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「数万匹ものハチさんが日々働いている様子がどんどん可愛く思えてきました」と話してくれた高田さん。(オンラインインタビューより)

「ミツバチは一度刺すと死んでしまうので、そう簡単に刺すことはないのですが、虫嫌いだった私はやっぱり最初は『刺されたらどうしよう』とか心配がたくさんありました。
でも、何万匹ものミツバチが日々働いている様子を見ていると、愛しく思えて仕方なくなってきました。トラブルも色々ありましたが、でき上がったハチミツをお客様に届けられるようになったときには感無量でしたね」

パネットーネの既成概念を覆す新提案

「日本橋のハチミツを街の人にも知っていただくことでコラボレーションもできるのではないかと当初から考えていました」という高田さん。その思いが叶い、今回のつなぎふとを通じて、日本橋三越本店は日本橋産ハチミツを使った百貨店外のパートナーとの商品開発を初めて実現させることになりました。

(関連記事:ローカルの素材とグローバルな感性が交差する、日本橋ならではの食みやげ 【つなぎふと TEAM C】日本橋三越本店×マンダリン オリエンタル 東京 開発プロセスリポート)

しっとりした食感や、深みのある味わいをもたらす日本橋産ハチミツのポテンシャルはマンダリン オリエンタル 東京の中村さんも認めるところですが、リフレッシュをするために仕事の合間に足を運んでいたという、職場から目と鼻の先にある三越の屋上で養蜂が行われていたことは知らなかったと言います。
そんな日本橋産のハチミツは、さまざまな花の蜜が混ざったいわゆる「百花蜜」。季節やその年の気候によって味わいが変わることが特徴で、春のハチミツは桜のフレーバーがほんのり感じられるのだとか。

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養蜂が行われている日本橋三越本店の屋上のすぐ奥にはマンダリン オリエンタル 東京が見える、まさにご近所同士のコラボレーション (画像提供:日本橋三越本店)

季節ごとに変わるのはハチミツの味わいだけではありません。
中村さんがつくる今回のパネットーネは、ホワイトチョコレートに加えて、旬の素材であるブルーベリーがふんだんに使われているのです。

「できれば季節ごとに異なる素材を使っていきたいと考えていて、すでに色々なフレーバーを考えています。例えば、それこそ桜フレーバーのパネットーネなんかも実現できたら面白いですよね」と語る中村さん。日本らしい素材を用い、季節性や地域性を感じられるパネットーネの継続展開に早くも意欲を見せています。

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通常のブルーベリーよりも小ぶりで味が凝縮したワイルドブルーベリーとホワイトチョコレートを用いたマンダリン特製のパネットーネ。

高田さんと同じ三越の食品バイヤーである西牟田桂介さんも、「既成概念を壊していくようなチャレンジは私たちとしても取り組みたいところですし、季節ごとにパネットーネを提案することでお客様の期待を高めていけるといいですね。パネットーネという海外の食文化を、日本らしく発信していくという意味でも重要な取り組みだと感じています」と語ってくれました。

旬の素材を用いた既成概念にとらわれないパネットーネは、今後日本を訪れる本場イタリアの方たちにも、新たな可能性を感じてもらえるものになるかもしれません。

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パッケージデザインの検討をするTEAM Cの面々。左から、日本橋三越本店の食品バイヤー・高田幸子さん、西牟田桂介さん、マネージャー・中村栄二さん、マンダリン オリエンタル 東京の料飲部 副支配人・加藤竜太さん。(編集部撮影)

さまざまな思いをつなぐ街のおみやげに

日本橋を代表するホテル、百貨店の地域への思いが詰まった「日本橋のはちみつをたっぷり使ったふんわりパネットーネ」は、3月に開催される「SAKURA FES NIHONBASHI」でデビューします。
商品を包むパッケージも、華やかな2色展開のお使い包みによって春らしさ、日本橋らしさを演出するデザインに仕上がりました。

三越の高田さんは、「この素敵なデザインも含め、皆様のさまざまな知恵やスキル、そして思いが詰まった商品になったと感じています。これだけ多くの人たちと一緒に商品をつくるということはこれまであまり経験したことがなかったですし、今回のコラボレーションはきっとお客様にとっても驚きがあるものだと思います。
ここでしか買えないものであることをしっかり店頭で伝えていくことで、日本橋をより好きになっていただきたいですね」と意気込みを語ってくれました。

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今回のつなぎふとのアートディレクションを担当している李さんがデザインを手がけたパッケージは、春らしい2色展開のお使い包み仕様。

マンダリン オリエンタル 東京の料飲部 副支配人・加藤竜太さんも「このプロジェクトがなければご一緒する機会がなかったかもしれない方々とこうしてつながれたことに幸せを感じています。
つなぎふとは、文字通り人と人のつながりを強く感じるプロジェクト。それをお客様にもお伝えしていきたいですし、一度限りで終わらせず今後につないでいきたいですね」と心強いコメントを残してくれました。

共に地域に根ざしながら、新たな食文化を発信してきたマンダリン オリエンタル 東京と、緑豊かな街の未来を願う日本橋三越本店。
両者の思いをつなぐ至極のパネットーネ、ぜひお手に取ってみてください。

構成・文:原田優輝(Qonversations) 撮影:前川裕介

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